アルマンディン/ロードライトガーネット(Almandine/rhodorite garnet)

動物や植物にオス・メス、雄しべ・雌しべがあるように、もし鉱物にも男女の別があるとしたら、それはガーネットファミリーのことを指すのかもしれません。
一族の長が前回のパイロープとすれば、その”妻”は今編の主役アルマンディン、そしてその夫婦から生れた”長男”がロードライトガーネットという訳です。
更にその”親戚”はスペサルティン、グロッシュラー、アンドラダイトと続き、相互の複雑な”婚姻”関係から生れた美しいグリーンやブラウンの”いとこ”達も、華麗なるガーネット一族の自慢となっています。

アルマンディンガーネット ルース

ロードライトガーネットダイヤモンドプラチナリング3
SOLD OUT
アルマンディンガーネットダイヤモンドプラチナリング4
G-5.930ct D-0.720ct

アルマンディン/ロードライトガーネットのジェムメッセージ

ナチュラルな美しさを最大の誇りとしている宝石・ガーネットは、どのような鉱物なんでしょう。
人の手を経なければ美しさを発揮できない多くのカラードストーンと違って、ガーネットの石たちは掘り出された時から透明で、どの色も艶やかで美しい。
最も古くからある赤色ガーネットは、前稿のパイロープと今稿のアルマンディン。
同じく今稿のロードライトは比較的新しい宝石です。
これらの石同士の関係を理解するために、その鉱物組成に一歩踏み込んで学んでみましょう。

酸化珪素を主成分とする鉱物を「珪酸塩鉱物」と云いまして、水晶系宝石はじめ多くのジェムストーンが属する鉱物種なのですが、ガーネット族はその珪酸塩鉱物の花形的地位にある宝石グループの一つです。
その珪酸塩に、マグネシウム、アルミニウム、鉄、マンガン、カルシウムといった5つの金属元素のうち2つの元素が、順列組合せ的に結合して、合計5通りのメイン・ガーネット(専門的には「端成分」)を形成します。
そして更に、あるメイン・ガーネットが時として他のメイン・ガーネットと混ざり合って、中間的なサブ・ガーネット(専門的には「中間固溶体」)が誕生したりします。

珪酸塩にマグネシウムとアルミニウムが組合わさった端成分(メイン・ガーネット)が深紅のパイロープ、珪酸塩に鉄とアルミニウムが組合わさった端成分がバイオレチッシュ・レッドのアルマンディン。
そしてこの二つのメイン・ガーネットの混合体サブ・ガーネットがワイン・レッドのロードライト(これだけは商業名)という訳です。
このような図式があと何通りもある複雑な相関関係が、ガーネットグループを「華麗なる一族」と呼ばせるのでしょうか。
それは、それぞれ個性的で、みな揃って美しいからに他なりません。

アルマンディン/ロードライトガーネットのマザーランド(代表的産地)

アルマンディンガーネットはガーネット族宝石の中では最も古く、古代エジプト期まで遡りますが、宝石素材として用いられるギリシャ・ヘレニズム期に、宝石質の石はインドから産出しました。
石名「アルマンディン」は、トルコ・アナトリア地方の「アラバンダAlabanda」に由来しますが、それは産地ではなく、研磨・加工地だったようです(プリニウス『博物誌』)。

一方、ロードライトガーネットはぐっと新しく、近代の1882年、米国ノースカロライナ州で発見されますが、間もなく枯渇します(1902年)が、60年後の1964年、タンザニアのウンバ渓谷でも見つかり、大量需要に応える採掘が行なわれています。

歴史の中のアルマンディン/ロードライトガーネット

前項で述べた通り、透明で明るいロードライトガーネットが赤系ガーネットの主役になる20世紀まで、赤系と云えば幾分暗くて褐色みのパイロープかアルマンディンガーネットでした。
特にアルマンディンの赤色は濃く、透明石でありながら大粒石は透けて見えないほどでした。
そこでアルマンディンの加工のために考案されたとされる研磨技法が「カーバンクル」です。
カボションに丸く研磨した石の底部をくり抜いて厚みを減らし、より透明に見せようとするものですが、その意味から転じて、”丸く研磨されたガーネットをはじめとする赤い宝石のこと”という意味にも解されるようです。
筆者は前者を支持しますが、どちらが正しいか本当のところは不明です。

アルマンディン/ロードライトガーネットのトリビアから

■多くの宝石研究者や好事家の間で大議論になっていることに、コナン・ドイルの探偵シャーロック・ホームズ・シリーズ『青いカーバンクルの冒険』論争というのがあります。
ある伯爵夫人所有の”青いカーバンクル“が盗まれて行方知れずとなり、報奨金を1,000ポンド(当時価で約800万円)まで掛けて探すが見つからない。
探偵ホームズが偶然手にした鵞鳥の胃袋の中からそれは奇しくも発見されるが、それは当の窃盗犯人にも意外だった・・・ というストーリーです。
原題The Adventure of the Blue Carbuncleの邦訳題を巡って文芸系大手出版社がキリキリ舞することになり、真の正解はいまだ闇の中です。

要は「カーバンクル」をどう訳すかです。
標準的に「ガーネット」と訳せば、ガーネットに青色はないからおかしい。
「赤い宝石」と訳せば単純な言語矛盾となり、「ルビー」と解せば青いサファイアが同鉱物であること大作家が知らないことになり、一方で、コナン・ドイル先生の宝石不勉強説、はたまた当時話題の呪われたブルーダイヤモンド「ホープ」伝説にあやかり説・・・・・。

そこで筆者は別の大胆な仮説を立ててみました。
実は、ガーネットにも超レアながら青色石は存在したのです。
そのことは、かの19世紀屈指の宝石商エドウィン・ストリーターが自著で”証言”しています。
それほどレアであれば、報奨金1,000ポンドは頷けるし、ドイル卿とストリーター卿はまさに同時代の同じ英国人、名士同士の接点があったのかもしれません。

■数少ない日本のアルマンディンガーネットの産地に、福島県石川町地区があります。
アルマンディンの他にベリルや長石等の珪酸塩鉱物、そして稀少なウラニウム系鉱物も産出しました。
大正から昭和初期、連戦連勝の日本軍部は、この地で核兵器の研究開発を行った経緯があります。
敗戦と同時にそれは立ち消えとなりますが、ガーネットの探索は熱心なアマチュア・マイナーの間で今でも盛んです。

博物館で出会える有名アルマンディンガーネット

・「双頭の鷲(ハプスブルグ家紋章)のアルマンディンガーネット」 美術史美術館(ウィーン, オーストリア)
パイロープ説もあり、真相は不明(前稿「パイロープガーネット」参照)。

アルマンディンガーネット履歴書

鉱物名

アルマンディンガーネットAlmandine Garnet

和名

鉄礬柘榴石 (てつばんざくろいし)

組成

鉄とアルミニウムの珪酸塩鉱物Fe3Al2(SiO4)3 + 遷移元素なし

発見地

インド(宝石質)

硬度

7~7.5

比重

4.05

屈折率

1.790

結晶

等軸晶系

結婚石

18年記念石

誕生石

1月

占星石

3/21~4/20

石言葉

チャスティティ(貞操) フレンドシップ

アルマンディンガーネット ルース

ロードライトガーネット履歴書

鉱物名

パイロープガーネットとアルマンディンガーネットの混合(中間固容体)
Pyrope Garnet + Almandine Garnet

和名

苦礬・鉄礬柘榴石 (くばん・てつばんざくろいし)

組成

マグネシウムと鉄とアルミニウムの珪酸塩鉱物(Fe/Mg)3Al2(SiO4)3 + 遷移元素なし

発見地

米国ノースカロライナ州

硬度

7~7.5

比重

3.78~4.05

屈折率

1.746~1.790

結晶

等軸晶系

結婚石

18年記念石

誕生石

1月

占星石

3/21~4/20

石言葉

チャスティティ(貞操) フレンドシップ

ロードライトガーネット ルース