パパラチャサファイア(Padparadscha Sapphire)

インド洋に浮かぶセイロン島のように、水面静かに艶やかに浮かぶ睡蓮の花、――その色に勝るとも劣らない美しい宝石を発見したスリランカの人々が、花の名をそのまま宝石名にしました。
パパラチャサファイアです。
誰も見たこともないピンキッシュ・オレンジのその色は、それまで発見されたサファイアの色にはなかったのです。
また、インド洋に沈む夕陽の色――とも地元の人は謂います。
それを眺めて彼らは「インディアンオレンジ色」、いやもう少しピンクがかった「ラズベリー色」だ、いや「ロータスピンク」だ、と会う人ごとにパパラチャの色彩表現は様々です。
オレンジ・ピンク中間色のピンク側限界は、「ベゴニア(長春色)」か「ワイルドチェリー色」あたりでしょうか。その先はピンクサファイアの領域とされます。
人々の好みは時と共に移ろい動くものですが、あなたはあなた自身のパパラチャ色(いろ)を探してみて下さい。

パパラチャサファイア ルース

パパラチアサファイアダイヤモンドプラチナリング5
PT900 S-0.485ct D-0.100ct
パパラチアサファイアダイヤモンドプラチナリング3

パパラチャサファイアのジェムメッセージ

赤色ルビー以外のコランダムをサファイアと呼び、ブルーを筆頭に原色の英語名を冠せて宝石名とするサファイアグループに中で、唯一花の名から、しかも中間色を意図するネームが付いた宝石、それがパパラチャサファイアです。
ブルー以外の数色のサファイアをファンシーサファイアと云いますが、パパラチャサファイアはオレンジサファイアとピンクサファイアの中間に位置し、微妙に狭い色域であるが故にとびきり稀少で、従って高価ながらファンシーサファイアの人気を独り占めにしています。
各色サファイアの色起源は、酸化アルミニウム(コランダム)結晶に微量に混入した鉄、チタン、ヴァナジウムそしてクロム等金属元素による光のマジックの為せるものです。

このデリケートなパパラチャの色起源はと云えば、これらの異元素の幾つかが絶妙な割合で混入し、千に一つくらいの比率でサファイアの中から現れ出た「レア・サファイア」に違いありません。
オレンジではない、ピンクでもない、そのミステリアスな色の詳細把握は文字通りミステリーと云われます。
その解析に必要なナチュラルな色を備えたナチュラル・パパラチャサファイア――それを探し出すのはほとんど困難と云われるからです。

パパラチャサファイアのマザーランド(代表的産地)

上述したように、パパラチャを始め各色サファイアの祖国は、インド大陸に寄り添うような島国スリランカです。
この国は山岳地帯もありますが、平地や高原が全体の7割を占める典型的な農業国です。
そんな農村風景のところどころに、人が出入りできるような井戸の入孔口が作られていますが、 まさにそれがサファイア鉱山の入口なのです。
地下25m位まで縦穴を掘り下げ、粘土層にぶつかる辺りで水平方向に掘り進む――そこにはブルドーザーや重機の姿はなく、人力のみによる至ってのどかな”鉱山風景”があります。
島の南部、中央山脈の西側高原地帯の中心都市ラトナプラ周辺が、サファイア主要産出地と云われます(ナディティガラ、アヴィサベラ鉱区等)。
元の国名「セイロン」をシンハラ語「スリランカ」と改名したのは、同地多数民族シンハラ人ですが、”聖なる輝き”を意味するそのシンハラ語の新しい国名を、誰かが”宝石の神様が舞い降りた国”と意訳(異訳?)したのも、初めて目にしたサファイアがあまりに美しかったからでしょうか。
そのシンハラ語が宝石名として世界に定着している例は、レアストーンのシンハライトとこのパパラチャだけです。
尚、パパラチャサファイアの主要産地は、その後、新鉱脈発見に沸くマダガスカル、タンザニアへとアフリカ圏に移っています。

歴史の中のパパラチャサファイア

スリランカでサファイアが発見されたのは、古く2000年以上も前のことです。
オレンジ・ピンクのパパラチャサファイアの発見は意外に新しく、1900年代の後半、それは私たちの生きる時代に華々しくデビューしたコンテンポラリー・ジェムなのです。
この宝石の名付け親スリランカ人が当初”認定”した色は、まさに睡蓮の花の色、現地読みで「パパラチャ」、すなわちピンキッシュ・オレンジ(桃色がかった橙色)でした。
それがつい最近の1990年代になって、この宝石が”ファンシーサファイアの女王”としてますます脚光を浴びるにつれ、宝石供給側に於ける色の範囲も拡大解釈されて、オレンジイ・ピンク(橙色がかった桃色)までは概ね「パパラチャ・カラー」となったようです。
――この”オレンジ・ピンク論”はさておき、かつてスリランカの人々が見たであろう、パパラチャ色の原風景に思いを馳せ、周りから何を云われても自ら納得の行くオレンジ・ピンクを選びたいものです。

パパラチャサファイアのトリビアから

■スリランカ産宝石の集積地は上述のラトナプラですが、研磨加工、流通取引の中心基地と云えば、旧首都コロンボから南へ海沿いに約60kmの港町ベルワラです。
ベルワラは同国では少数派のアラブ人が仕切る町で、その人口の8割が宝石従事者と云います。
因みに同国の現首都は、旧首都コロンボからこのベルワラへ向う途中の沿岸都市スリ・ジャヤワルダナグラ・コッテなる長~い名の町です。

■睡蓮の花の色、という意味のパパラチャですが、この「睡蓮」、読んで字の如く昼咲いて夜眠る花なのです。
昔の人は、そのつぼみを食べて夜眠ると楽しい夢が見れる、と好んで食したとのことです。
ところで睡蓮の花をなかなか見ることのない私たちは、たとえば”煙草を深く吸った時の火の色”をイメージすれば、パパラチャカラーに限りなく近づけると思います。

■宝石に勝るスリランカの特産品の一つは、セイロン紅茶の名でお馴染みの茶製品です。
これは、かつて同国を植民地としていた英国の人々が、無類の紅茶好きであることと無関係ではないでしょう。
史実によれば、コーヒー豆栽培が同国の主要輸出産業だった時代があり、それが不幸にも病虫害で壊滅し、そのためコーヒーから紅茶に切り替った、といういきさつはあまり知られていません。

■宝石パパラチャサファイアにとっては、甚だ迷惑な流行語「パパラッチpaparazzi」というのがあります。セレブたちの私生活を盗撮してマスコミに売りさばく写真家のことです。
フェリーニ監督の映画『甘い生活』に登場した報道写真家Paparazzoパパラッツォというドラマ上の役名が、その映画のストーリーも相俟って一般名詞化したようです。
カメラ付き携帯が普及する今日では、素人がスクープ写真を撮ることをスナパラッチ(スナップとパパラッチの合成語)というそうです。

パパラチャサファイア履歴書

鉱物名

コランダム Corundam

和名

鋼玉 (こうぎょく)

石名由来

「睡蓮の花の色」を意味するシンハラ語より

組成

酸化アルミニウムAl2O3 + 遷移元素 鉄Fe、チタンTi、 クロムCr他

発見地

スリランカ

硬度

9

比重

4.00

屈折率

1.762~1.770

複屈折

0.008

分散度

0.018

結晶

六方晶系

結婚石

23年記念石

誕生石

9月

占星石

4/20~5/20(牡牛座)

曜日石

木曜日

パパラチアサファイア ルース2

No.912
パパラチャサファイヤリング
PT900 S-0.485ct D-0.100ct
パパラチアサファイアダイヤモンドプラチナリング1
No.5453
パパラチャサファイアペンダントネックレス
Pt900 S-0.640ct D-0.350ct
パパラチアサファイアダイヤモンドプラチナネックレス5