ファイアオパール(Fire Opal)

ァイアオパールのふるさとはメキシコの山岳地帯。
それは古代アステカ文明が花開いた地域の近くでもあります。
スペインに征服される前のアステカの人々は、掘り出したファイアオパールを「ハミングバードの宝石」と名付け、オレンジのオパールと共にこの美しい鳥を愛したといいます。
「アステカの太陽神」としてオパールを崇めたその祈りも空しく、アステカ文明は15世紀の覇権国スペインに跡形もなく滅ぼされました。
いま、見るも鮮やかに輝くファイアオパールを通して、遠い文明の栄耀栄華が目の前に甦って来るようです。

ファイアオパールダイヤモンドプラチナリング

ファイアオパールダイヤモンドプラチナリング1
MO-2.140ct D-0.920ct
ファイアオパールダイヤモンドプラチナリング2
SOLD OUT

ファイアオパールのジェムメッセージ

ファイアオパールは、水晶(クオーツ)や瑪瑙(カルセドニー)等多くの宝石が属する大シリカグループの宝石です。
我が大地の地殻を構成する最大元素である「珪素」が酸化した二酸化珪素、すなわち「シリカSiO2」という鉱物は、実に多彩な表情を以って私達を魅了します。シリカが極めて単純に結晶したのがアメシスト等の水晶系宝石ですが、そのシリカが通常の結晶形態をとらず、“潜晶質或いは隠微晶質”状の非晶質鉱物として誕生したのがオパールグループの宝石です。

シリカ宝石の変り種オパールの更なる特異性は、他に例のない「水」を含んだ唯一の宝石であること。つまり、シリカが水に溶けて球状微粒子(シリカ球)となり、それが規則的に配列・固化した“ゲル状固形物”、というのがその正体なのです。
そして話はここで終りません。
そのシリカ球の配列状況により、オパールという宝石は、あの7色の虹色遊色効果を演ずる「プレシャスオパール」と、遊色しない「コモンオパール」の2種に枝分かれして行くのです。
微粒のシリカ球が整然と並び、その球間空隙が光の干渉・回析作用を促して遊色効果をもたらすのが「プレシャスオパール」ですが、一方、その空隙が一定値より狭かったり、シリカ球配列に規則性を欠く場合は干渉作用は起こらず、遊色しない「コモンオパール」となります。
ここに至って、ようやくコモンオパールの代表・ファイアオパールの登場です。
厳密に云えば遊色するファイアオパールも存在しますが、本稿では、無遊色ながら火のようなオレンジ色のメキシコ産ファイアオパールを語ります。
プレシャス系のブラックオパールと並び、ファイアオパールはオパール人気を二分する美しい透明石だからです。
ブラックとは似ても似つかぬ鮮やかなチェリーオレンジ色の色起源は、微量に混入した鉄分がオパール特有の水分と作用して水酸化鉄となり、その波長吸収によるものです。

ファイアオパールのマザーランド(代表的産地)

ファイアオパールは「メキシコオパール」と言い換えられて万民に親しまれて来たように、13世紀先住民族アステカ族によりメキシコで発見されて以来、メキシコが世界最大の産地です。
本格的商業採掘は1870年頃、首都メキシコシティーから北西へ200kmのケレタロ(ケレタロ州・州都)他で始まり、以後、西に隣接するハリスコ州マグダレーナ地区に産出の中心は移り、マグダレーナは空前のオパールブームに沸きます。時に1960~1970年、メキシコオリンピック(1968)を挟む十数年間で、その中には多くの日本人バイヤーの姿がありました。

歴史の中のファイアオパール

上述のマグダレーナ”オパールラッシュ“の主役は、実に日本人バイヤーだったのです。人数的規模は定かではありませんが、資料によれば、当時の新産オパールの何と8割は日本向けに出荷されたとのことです。前述のオリンピックの東京に次ぐメキシコ開催が、日本人ラッシュの要因と考えられなくもありませんが、メキシコに渡った若い日系バイヤーたちが、現地の女性と家庭を作り以後定着した例も多かったという事実から、そこには”産業移民”の要素もあったのではないかと思われます。

それまでは、オレンジ系のオパールの美意識と日本人の感性を結び付ける文化的背景があったとは考えにくく、従って「オパール好きの日本人」 という今日の常套句は、その時形造られたのでしょうか。
尚、当時日本向けに大量出荷されたメキシコオパールは、オレンジ透明石のファイアオパールだけでなく、無色透明な地色ベースに鮮やかな7色遊色効果を演ずる「ウォーターオパール」も相当量ありました。
宝石商の間で「メキ」と呼ばれるメキシコオパールは、もう一つのオパール大国オーストラリアのブラックオパールに勝るとも劣らない、まったく異質で多彩なオパールシーンを演出してくれます。

ファイアオパールダイヤモンドプラチナリング3
SOLD OUT
ファイアオパールダイヤモンドプラチナネックレス4
MO-3.400ct D-0.300ct

ファイアオパールのトリビアから

■ファイアオパールの祖国メキシコにほど近いカリフォルニア湾に浮かぶ亜熱帯の島、サンタカタリナ諸島。
アメリカのアマチュア・ダイバーたちのホームグランドです。海底に繁茂する海藻の林の間をぬって、気ままに泳ぎまわるガリバルディというひょうきんな魚たち、――その色がまさにファイアオパールのオレンジ色そのまま。
時折遭遇する珊瑚礁のまにまに見かけるのは、カタリナゴビ-というミニフィッシュ、――ボディーは透き通るようなオレンジ色なるも、眼の付近がまさにウォーターオパールのような見るも鮮やかな7色の虹色。
ダイバー諸君、一度潜って確かめて下さい。

■ファイアオパールFire OpalのFireとは、正確には虹色に遊色するときの「斑」のことです。
ところが、遊色してもしなくてもボディーカラーが燃える火の様な赤橙色であれば、今日では共にファイアオパールとされています。
無遊色でもそれをファイアオパールと呼ばせた発端は、どうやら日本人バイヤーによるメキシコオパール買付けラッシュ以来の事のようで、そのあやしげなネーミングをそのまま追認したのが、欧州の色石集積地イダ・オーバーシュタインの指導的宝石商たちだったようです(1980年代)。
これも宝石供給者のビジネスパワーのなせるものでしょうか。

■日本人がオパール好きである一方、西洋人のオパール嫌いは本当でしょうか? 近代英国の歴史作家ウォルター・スコットが小説「ガイアスタインのアン」の中で、七色に遊色するファイアオパールを不吉な宝石として槍玉に挙げて以来、西洋人はこの石を遠ざけるようになったようです。
その時遊色しないオレンジ透明石のオパールも、彼らは嫌ったのでしょうか?――皮肉にも、この小説を書いたスコット自身が経営する出版社が、その後破産してしまいました。
それはオパールの”報復”だったのかも知れません(!?)。

博物館で出会える有名ファイアオパール

「アステカ太陽神(ファイアオパール)」        シカゴ自然史博物館(シカゴ, 米国)

ファイアオパールダイヤモンドプラチナリング5
PT MO-1.900ct

ファイアオパール履歴書

鉱物名

オパール Opal

和名

火蛋白石 (ひたんぱくせき)

石名由来

「宝石」を意味するサンスクリット語upala(ウパラ)より

組成

水分を取込んだ二酸化珪素SiO2・nH2O + 遷移元素 鉄Fe

発見地

メキシコ

硬度

5~6.5

比重

1.37~1.43

屈折率

1.95~2.05

結晶

非晶質

結婚石

14年記念石

誕生石

10月

その他

午後6時の宝石